一般財団法人環境イノベーション情報機構
「ジュゴンと藻場の広域的調査」で13〜15年度の結果概要まとまる
【自然環境 野生動植物】 【掲載日】2005.01.05 【情報源】環境省/2004.12.28 発表
沖縄本島周辺海域に生息するジュゴンの保護策検討のための基礎資料として環境省が平成13年度から15年度まで実施した「ジュゴンと藻場の広域的調査」の結果概要が16年12月28日までにまとめられ、公表された。ジュゴンは、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物種の国際取引に関する条約)では、最も厳しく規制される付属書1リストに登録されている哺乳動物。とりわけ沖縄のジュゴンは、世界的な分布の北限と言われ、生息数も非常に限られていると推測されている。
13〜15年度調査では(1)ジュゴンの分布、(2)餌場となる海草藻場の分布とジュゴンの利用上状況確認、(3)食性などについての知見の収集、(4)遺伝学的特性の把握−−などの内容が実施され、このうち(1)については航空機からの目視で、東海岸中部・西海岸中北部で延べ12頭のジュゴンが確認され、(2)についても東海岸中部、東海岸南部、西海岸北部の計6海域の海草藻場で食跡が確認されていることから、ジュゴンが東海岸中北部・西海岸北部の海草藻場を主として利用していることが推察されている。
また(3)についてはジュゴンが7種類の海草を摂食していること、(4)についてはDNA解析により沖縄の個体とフィリピン産の個体が近い祖先を持つことが示唆される結果が得られたと報告されている。
なお環境省ではこれらの調査の中で、十分収集できなかった藻場の利用状況、ジュゴンの生態に関する情報を更に集めるため、16年度にも補足調査として、未調査藻場での食跡調査、航空機によるジュゴンの行動調査を実施中。またこの調査とは別に、混獲によるジュゴンの死亡事故を減らすために、ジュゴンのレスキュー技術の確立と普及に関する調査を沖縄県に委託して実施し、15年度までにレスキューのためのマニュアル整備などもまとめている。【環境省】