一般財団法人環境イノベーション情報機構
3社で不適切な配管肉厚評価が判明 17原発に対する16年度第2回保安検査結果
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2004.11.26 【情報源】原子力安全・保安院/2004.11.25 発表
原子力安全・保安院は平成16年8月から9月にかけて国内の17原子力発電所で実施された16年度第2回保安検査の結果を16年11月25日開催の原子力安全委員会に報告した。保安検査は保安規定が遵守されているか確認することを目的とした原子炉規制法に基づく検査。
今回、各原子力保安検査官事務所はそれぞれの原発ごとに設定した重点項目を中心に立入り検査、物件検査、関係者質問を実施したほか、8月に関西電力美浜原発3号機で2次系配管破損事故が発生したことを受けて、東北電力の東通原電を除く全発電所で配管減肉管理の実施方針・実施状況を検査した。
報告によると立入り検査、物件検査、関係者質問の範囲では17原発いずれについても保安規定に違反する事項は認められず、運転管理状況の記録確認、原子炉施設巡視、定期自主検査等への立会いの結果でも、運転管理状況についての問題は発見されなかった。
一方、配管減肉管理の実施方針・実施状況検査結果としては、美浜事故以前にはほぼ全事業者が配管肉厚管理業務を外注し、外注先企業が行った管理評価結果を確認し承認する運用がされていたこと、北海道電力、日本原子力発電、九州電力の3社で配管肉厚評価の結果、余寿命が2年以内とされた加圧水型原子炉(PWR)配管を管理指針と違う条件で再評価し計算上の余寿命を延ばしていたこと−−などの問題点が報告された。
配管の減肉管理に関しては、現在(社)日本機械学会が安全基準となる技術指針が策定中で、今後は同指針に基づいた統一的な管理が行われる見込みであるが、保安院では当面、原子力保安検査官による日常巡視や保安検査により不適切事例がないか確認していくとしている。【原子力安全・保安院】