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環境ニュース[国内]

知床の保護強化策について、日本政府がIUCNに回答へ

環境一般 その他(環境一般)】 【掲載日】2004.11.02 【情報源】環境省/2004.11.02 発表

 2004年11月2日に北海道斜里町で開催された「知床世界自然遺産候補地地域連絡会議」で、環境省は世界遺産候補地としての知床の現地調査を実施した、国際自然保護連合(IUCN)のシェパード保護地域事業部長からの書簡に対する回答案の内容を説明した。
 シェパード部長の書簡は、世界遺産委員会事務局であるユネスコ世界遺産センターに提出する知床の評価報告書を作成するにあたって、保全のための追加的な指摘を日本政府に伝え、これに対する日本政府の方針について回答を求めたもの。
 推薦地の海域部分の保護対策不備を指摘。(1)推薦地を特徴づけている野生生物の餌となるスケトウダラなどの保護強化、(2)オホーツク海・根室海峡の主要魚種繁殖・採餌のための生息地調査実施−−を求めたほか、推薦地内の河川でのダム建設に関連し、(3)サケへの影響調査の緊急実施、(4)河川本来の流れとプロセスの回復・維持を目的とした河川管理の実施とサケの自由な移動を確保するための魚道整備−−などの内容を提案した。
 これに対し今回作成された回答案は、(一)スケトウダラについてすでに「国連海洋法条約」にもとづく国内法「海洋生物資源管理法」により国が漁獲量上限を設定し資源管理を行ってきた−−との経緯を説明した上で、海域保護のため新たに、(二)海域の多利用型統合的海域管理計画を今後5〜10年かけ策定する、(三)海洋生物、漁業活動などの詳細モニタリング調査結果を実施した上で推薦地内海域の漁業活動を管理する新たな取組みを08年までに作成する−−などの内容を示した。
 またダムについては(四)現在設置されているダムは住民の生命・財産や森林生育基盤の保全、土砂災害防止に必要で撤去は困難−−としながらも、(五)実施中のサケ・マスの遡上・産卵状況を把握する調査結果を踏まえ、今後ダムによるサケ・マスへの影響評価を実施する、(六)サケ・マスが遡上できる魚道は既に一部河川で設置されており、今後も必要な場合は逐次設置を行う用意がある−−と回答した。
 なおこのほかにも「エコツーリズムに関する戦略の開発」、「エゾシカの管理」、「陸域と海域の生態系の連続性・健全性をモニタリングするための指標や水準の開発」について対策を記しており、環境省では04年11月5日までにこの回答をIUCNへ送付する予定。【環境省】

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