イヌワシ・クマタカの分布、生態に新知見　「希少猛禽類調査」結果

【自然環境 野生動植物】 【掲載日】2004.09.01 【情報源】環境省／2004.08.31 発表

　平成９年度から環境省、経済産業省、国土交通省が実施し、林野庁が協力していた「希少猛禽類（イヌワシ・クマタカ）調査」の取りまとめが終了し、１６年８月３１日に結果の概要が公表された。
　この調査はそれまで情報が不足していた、イヌワシ・クマタカの分布や生態についての新たな知見の収集を目的とし、（１）既存資料調査、（２）分布に関する現地調査、（３）生態に関する現地調査、（４）生息環境（植生）調査、（５）イヌワシ・クマタカの生息状況に詳しい有識者へのアンケート調査−−を実施したもの。
　イヌワシが全国６３５メッシュ（注１）、クマタカが全国１，４０２メッシュで生息が確認され、生息分布図が充実したほか、既存資料調査や現地調査、アンケート調査より、イヌワシで最低約２００ペア、クマタカで最低９００ペアの存在が確認されたことから、全国の最小推定個体数がそれぞれ約４００羽、１，８００羽と試算されるなどの成果があがった。
　また生態についても、ペアの行動権がイヌワシで９０〜１３０平方キロメートル、クマタカで１０〜２５平方キロメートル、双方とも繁殖成功率が低下しているなど、新たな知見が得られたという。
　なお環境省は現在、イヌワシ・クマタカについて生息環境の整備などより積極的な保護策を実施するため、別途「希少猛禽類保護指針策定調査」を実施しているところで、今後の保護施策は、今回の「希少猛禽類調査」とこの「保護指針策定調査」双方の結果を踏まえ、進めていく方針だ。

（注１）全国を１０キロメートル四方で区切った１区画を１メッシュとしている。【環境省】