一般財団法人環境イノベーション情報機構
ベーリング海で2004年さけ・ます類資源調査開始
【自然環境 野生動植物】 【掲載日】2004.06.23 【情報源】水産庁/2004.06.15 発表
水産庁の漁業調査船開洋丸は、北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)国際共同調査の一環として、2004年6月17日から7月16日までベーリング海で、さけ・ます類を主な対象とした資源調査を実施する。日本系さけ・ます類を含む北太平洋の溯河性魚類については、「北太平洋における溯河性魚類の系群の保存のための条約」により、北緯33度以北の公海域での漁獲が禁止されているほか、条約に基づき設立された北太平洋溯河性魚類委員会で共同調査など資源保存のための活動が行われている。
これまでの調査研究で、夏季ベーリング海でのさけ・ます類の生物学特性や資源状態が明らかになってきているが、さけ・ます類の持続可能な管理のためにはさらに、(1)海洋環境の変化がさけ・ます類の生活史や資源変動に与える影響、(2)さけ・ます類を中心とした北太平洋の環境収容力、(3)各系群の相互作用・競合関係が資源変動に与える影響−−といった要素を解明する必要がある。
今回の調査では、(一)ベーリング海の海洋物理環境と海洋生態系の構造・現存量の変化、(二)環境収容力概算のための餌生物量のデータ蓄積、(三)日本系サケと他のサケ系群、他のさけ・ます類の分布量、競争関係、(四)流網と表層トロール網による漁獲効率の比較−−に関する調査を行う。
水産庁としては特に、日本系サケが他の海洋生物と調和を保ちながら生息していること、さけ・ますの資源変動は沖合域での魚種・系群間の相互作用よりも、沿岸域の気候変動や沖合域の環境収容力による影響が大きいことを解明したい考え。【水産庁】