一般財団法人環境イノベーション情報機構
EPA、子供の健康保護の動向について初の報告書を公表
【健康・化学物質 その他(健康・化学物質)】 【掲載日】2001.04.04 【情報源】/2001.01.08 発表
1月8日、EPA長官は、アメリカの子供達の健康・福祉に影響を及ぼす可能性のある環境要因の動向について、評価結果を公表した。EPAがこのような評価を行ったのは初めて。報告書、「アメリカの子供達と環境:利用可能な措置に関する最初の検討」("America’s Children and the Environment: A First View of Available Measures")は、EPAの国立環境経済センター(National Center for Environmental Economics)が作成したもので、1990年から1999年までの10年間のデータについて検証した。報告書では、環境要因からのリスクについて、これまでに改善されてきた点もあるが、大きな課題も残されていることを示している。
この期間における改善点としては以下の例が挙げられている。
・ 6つの「大気汚染基準物質」(地上レベル・オゾン、粒子状物質、CO、鉛、SO2、NO2)のうち、一つ以上が連邦大気質基準を超えている郡に住む子供の割合が28%(1990年)から23%(1999)年に減少。
・飲料水基準に違反している公共水道を使用している地域に居住する子供達の割合が19%(1993年)から8%(1998年)に減少。
一方、残された問題としては以下の例が挙げられている。
・ 環境に関連する健康問題は、人種や貧困という要因の影響を受けやすく、特定のグループの子供達に生じやすいことが明らかになった。たとえば、貧困線(訳注:最低限度の生活を維持するのに必要な所得水準。生活困窮者の比率を決定するための政府による公式な基準として用いられる)を下回る家庭の黒人の子供は、他の人種および収入レベルの家庭の子供達よりも小児ぜんそくにかかる比率が高い。
・アメリカの小児ぜんそくの罹患率が5.8%(1990年)から7.5%(1995年)に増加。
・1992年から1994年までの間、約150万人の17歳以下の子供達の血中鉛濃度が1デシリットル当たり10マイクログラム以上に上昇。
なお、これまでにも、ブラウナーEPA長官は、子供達の健康問題を優先するため、子供健康保護局(Office of Children’s Health Protection)を設立。同局は、この報告書作成に協力した。【EPA】