人と野生生物の蓄積状況など、ダイオキシン類に関する４種の調査の１４年度調査結果を公表　

【健康・化学物質 ダイオキシン】 【掲載日】2004.02.19 【情報源】環境省／2004.02.19 発表

　環境省は、平成１４年度の「野生生物のダイオキシン類蓄積状況調査」、「ダイオキシン類による人の暴露実態調査」、「ダイオキシン類の人への蓄積量調査」、「臭素系ダイオキシン類に関する調査」の結果を平成１６年２月１９日に公表した。
　野生生物のダイオキシン類蓄積状況調査は（１）トビ、カワウなどの鳥類、（２）オウギハクジラ、スナメリなどの海棲哺乳類、（３）アカネズミ、タヌキなどの陸棲哺乳類−−について、ダイオキシン類の蓄積状況を測定しているもので１０年度から実施されているが、１４年度調査では１３年度調査の結果と同様、（一）他の生物に比較して鳥類のダイオキシン類蓄積量が高い、（二）海棲哺乳類は陸棲哺乳類に比較して蓄積量が高い−−という結果が確認された。
　また人への暴露実態調査では、１３年度に政府機関や地方公共団体が行った各種調査を基に、人の経路別暴露量（人がさらされていたダイオイキシン量を経路別にまとめたもの）や、これをもとにした個人の総暴露量推計を行ったが、このうち個人の総暴露量は、１日体重１ｋｇあたり１．６８ｐｇ−ＴＥＱと算定され、１３年度の１日体重１ｋｇあたり１．５ｐｇ−ＴＥＱよりわずかに増加していた。摂取経路はこれまで同様、食事からの摂取が約９割を占めているとされた。
　一方、人への蓄積量調査では、全国５地域の２５９名に対して血液中ダイオキシン類濃度を測定したほか、ダイオキシン汚染が過去に判明した大阪能勢町と埼玉県所沢市周辺の住民に対して血液測定を行ったが、このうち全国２５９名への調査では５地域の血液中ダイオキシン類濃度平均値が脂肪１グラムあたり２２〜３４ｐｇ−ＴＥＱの範囲となり、既存調査とほぼ同じ結果とされた。大阪能勢町と埼玉県所沢市周辺の住民の血液中ダイオキシン類濃度平均値は脂肪１グラムあたり２６〜２７ｐｇ−ＴＥＱで、こちらも昨年度までの結果と同レベルとされた。
　さらに臭素系ダイオキシン類（注１）に関する調査では、全国１２地点で、大気、降下ばいじん、土壌、地下水、水質、底質、水生生物（魚介類）、野生生物（鳥類、ほ乳類）、食事試料の９媒体をそれぞれ採取し、臭素系ダイオキシン類検出状況を調べたものだが、１２地点中１１地点の環境媒体のほとんどから臭素系ダイオキシン類が検出されるという結果となった。

（注１）臭素系ダイオキシンは通常のダイオキシン類の「塩素」の１つ以上が「臭素」に置き換わった物質。臭素系難燃剤が混入している家電製品のプラスチックなどが不完全燃焼すると発生するとされており、毒性は通常のダイオキシンと同程度とされている。【環境省】