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環境ニュース[国内]

打ち上げられたクジラの鯨肉や骨の利用を提言 水産庁検討委員会報告書

自然環境 野生動植物】 【掲載日】2003.07.10 【情報源】水産庁/2003.06.25 発表

 平成14年1月に鹿児島県大浦町にマッコウクジラ14頭が打ち上げられ、多額の処理費用がかかったことを契機に、浜に打ち上げられ動けなくなったクジラ(座礁鯨類)の処理体制や利用方針の見直しを行っていた水産庁の座礁鯨類処理問題検討委員会は、平成15年6月25日までにこれまでの検討結果を報告としてとりまとめた。
 平成9年以降、毎年全国で3ケタ台の鯨類の座礁が発生しており、しかもその数は増加傾向にある。平成14年の鯨類座礁頭数は273頭で、うち大型鯨類は41頭、小型鯨類は212頭、鯨種不明は20頭であった。
 水産庁ではこれまで長官通知により、生きているものは海へ戻し、死んでいるものは埋めるか焼却するよう指導してきており、また平成9年には具体的な座礁鯨類処理対応マニュアルを作成して漁業関係者に配布している。 ただしこのマニュアルは大型鯨の集団座礁を想定しておらず、このような座礁が発生した場合の対応できなかった。
 今回まとまった報告は、大型鯨の集団座礁のようなケースが発見された場合は市町村が現場対策本部を組織し、国や都道府県と連携しながら処理体制を構築することが必要であるとし、処理経費については特別交付税の算定対象に加えられるよう関係省庁に働きかけるべきであるとまとめている。
 また具体的な処理方法としては、鯨肉の食用利用や歯や骨格の工芸用原料・骨格標本への利用を基本的に認めるべきであると提言。
 ただし食用利用の場合には、食品衛生法の体系の中で食品としての安全性を確保する体制が確立されること、工芸用原料・骨格標本の利用についても利用を希望する者が処理費用を負担することが前提条件であるとしたほか、利用にあたっては、座礁の状況、用途、数量を都道府県や水産庁に報告し、違法捕獲した鯨類と区別できるような体制を構築する必要性があると指摘した。
 さらに陸上処分が困難で食肉や骨格の利用を行わないケースでは、自然現象として座礁した鯨は、陸上や船舶で発生した廃棄物の海洋投棄を禁止する海洋汚染防止法の禁止規定にそもそも該当しないと考えられることから、海洋投入処分も視野に入れて対応すべきであると提案されている。【水産庁】

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