一般財団法人環境イノベーション情報機構
ワシントン条約第49回常設委員会 FAOとの協力覚書案、議長が強行採決
【自然環境 野生動植物】 【掲載日】2003.04.30 【情報源】水産庁/2003.04.28 発表
2003年4月22から25日にかけてスイスのジュネーブで、ワシントン条約(CITES)第49回常設委員会が開催された。今回の委員会では、ワシントン条約附属書掲載基準の見直しのためのスケジュールや、すでに附属書に掲載されている動植物種への定期的な評価の手順、海産種に関する附属書掲載提案への国連食糧農業機関(FAO)の関与の枠組みを定める「CITESとFAOとの協力覚書案」などの検討が議題にのぼった。
このうち附属書掲載基準の見直しの検討スケジュールと附属書掲載済みの動植物種の評価手順については、動物委員会と植物委員会で検討され、基準の見直し結果については次回の委員会に報告することが決定したほか、評価手順も手順案が採択された。
一方、「CITESとFAOとの協力覚書」は、2002年のFAO水産物貿易小委員会での基本合意内容が基になっており、海産種に関するCITES附属書掲載提案が出された場合、FAOがこれを科学的・技術的に検討し、提案の扱いをCITESに勧告するとされているが、2003年2月に開催されたFAO水産委員会では具体的な協力覚書案の内容が合意されず、FAO側でも継続検討されているもの。
今回のCITESの議論では、「海産種のCITES附属書掲載は例外的な場合に限定され、関係する地域漁業管理機関が合意した場合に限る」とした文案に対し、一部の国がCITESの活動を制限すると拒否し議論が紛糾。結局、議長国の米国が事務局案に対する各締約国のコメントを集約した上でFAOと交渉、結果を次回常設委員会に報告するとの提案を行い、採決強行により1票差でこの案を可決した。
ただし議長の採決強行により可決されたことについては、覚書案の十分な検討を行っていないとして多くの国が次回委員会までの継続検討を求める一幕もあった。【水産庁】