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環境ニュース[国内]

「有明海の干潟、自然の形を取り戻す措置必要」 有明海の漁業生産・環境の再生めざした最終報告まとまる

水・土壌環境 その他(水・土壌環境)】 【掲載日】2003.04.24 【情報源】水産庁/2003.04.23 発表

 有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会の最終報告書「有明海の漁業と環境の再生を願って」が平成15年4月23日までにまとまり、公表された。
 同委員会は平成12年の有明海での大不作を景気に13年3月に設置され、15年3月まで10回にわたり、有明海沿岸の福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県でのノリ不作の原因究明や必要な調査研究の計画と実施についての検討を行ってきた。
 有明海では14年度も栄養塩不足のせいで、ノリの生産は不安定で平均を下回った。また漁業でも主対象となる二枚貝についても漁獲の衰退が続いている。
 このような状況を受け、最終報告では潮汐・流動の変化、水質・底質の悪化、赤潮の発生、干潟の喪失などの環境要因を含め、現時点で把握された研究の成果や今後解明が必要な課題を整理している。
 水質についてはCOD、窒素、りんの流入負荷の経年変化について知見が蓄積されておらず、これを明らかにすることが急務であると指摘したほか、底質についても現時点で組成変化については知見がないため、流域の環境変化と併せて検討する必要があるとした。
 また、生物に影響の大きい貧酸素水塊の発生・持続・消滅の機構についてはかなり明らかになったと報告しており、今後は水質の連続観測を多くの測点で継続し、更に解明を進めていくことが必要と指摘されたほか、泥干潟と砂干潟の浄化能の異同の詳細調査の必要性も提言された。
 一方ノリの生産量回復のためには、上記のような環境調査を推進した上で減柵などの管理を徹底していくこと、二枚貝の資源の回復には底質の改善が急務とされている。
 「おわりに」の部分では、解明された情報から、80年代以降の有機汚濁流入の蓄積が漁業資源の減少に影響しているとの推定を行った。
ただし、水質浄化面や生物生産の面でも重要な役割を果たしている干潟面積が1945年ごろの4分の3以下の約19,000ヘクタールに減少してしまっていることから、漁業生産の回復が困難であると指摘。この条件の中で、当面は干潟などの自然条件を現状より悪化させず、本来の自然の形を取り戻す方向の措置を考えることで必要であるとまとめている。【水産庁】

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