一般財団法人環境イノベーション情報機構
敦賀原発2号機の火災、高圧タービンの軸受部から漏れた油が保温材内で暖められ発生
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2002.12.24 【情報源】原子力安全・保安院/2002.12.20 発表
平成14年12月12日に日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機(加圧水型、定格電気出力116万キロワット)の高圧タービンケーシングカバーの保温材付近から火災が発生し、原子炉が手動停止したトラブルについて、日本原子力発電は平成14年12月20日付けで、原子力安全・保安院に対し、トラブルの原因と対策に関する報告書を提出した。報告書は火災の原因を、高圧タービンの軸受部から漏れ出た潤滑油が軸受部の下部に設置されていた保温材内部のロックウールに染み込み、更にこれが周囲の熱の影響を受けて発煙した後、点検のため保温材を取り外す際に空気に触れ発炎したと推定。
なお軸受部からの潤滑油漏れは、潤滑油を貯留している主油タンク内を負圧に保つために運転している「ガス抽出機」の修理作業のため、予備のガス抽出機に一時的に切替えた際に発生していたため、この予備ガス抽出機を調べたところ、抽出機出口側U字型配管に錆が堆積していることが判明。錆により配管が詰まり気味になって潤滑油漏れが起こったことが推測された。
これらの調査結果を踏まえ、日本原子力発電は、(1)U字型配管を新品に取り替えるとともに、配管を簡単に清掃が行えるような構造に改め、今後、定期的に清掃を実施すること、(2)軸受箱から潤滑油が漏れても保温材に染み込まないようカバーを設置すること−−などの対策を決定。
原子力安全・保安院もこの報告書に記載された原因と対策について、妥当なものであるとの判断を示している。
日本原子力発電は今後、これらの対策を実施し健全性を確認した後、12月23日頃に原子炉を起動し、発電を再開する予定。【原子力安全・保安院】