一般財団法人環境イノベーション情報機構
竹中工務店、植栽空間を活用した雨水の貯留・浸透空間の実証実験を開始
【自然環境 身近な自然の保全】 【掲載日】2016.08.23 【情報源】企業/2016.08.09 発表
竹中工務店は、植栽空間を活用した雨水の貯留・浸透空間「レインスケープ」の実証実験を千葉県印西市の自社の技術研究所で始めた。水質を改善した後の雨水を回収して利用促進を図る。平常時は地上部分が植栽空間として機能し、導入施設の価値を高められる。豪雨時には地下部分が雨水の貯留・浸透空間になり、下水道への流出を抑制する。レインスケープは地域の生物多様性に配慮した植栽を施し、水質改善効果が高い材料を地中の充てん剤にする。その下に集水用の配管を設け、水質浄化後の雨水を貯留槽や修景池で活用する。雨水の一部は地下に浸透する。実証実験では水質改善効果を高める材料選定のため、約40m2の区域を3カ所に分け、貯留水の水質・流量のデータを集める。
年間を通じて検証し、雨水の貯留やリン・窒素の除去効果などの機能の向上を目指す。今後、建物の屋根や外構部から集水した雨水をレインスケープで貯留・浸透して水質を改善した後、水質に応じて敷地内で利用する雨水活用エンジニアリングに取り組む。駐車場や構内道路など外構に広い集水面積がある商業施設や工場、病院を対象にする。
レインスケープは、地域の植生を再現することで生物多様性に配慮する。併せて、地域らしさや気候風土に合った空間デザインによって、地域との連続性に配慮した魅力的な景観を創出する。気候変動に伴って水害が多発する中、雨水の浸透・流出を抑制すると同時に、雨水の有効活用、生物多様性保全、植栽空間での暑熱対策を実現する。