一般財団法人環境イノベーション情報機構
富士通研究所、船舶の運航データ活用で燃費性能を高精度に推定する技術を開発
【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2016.05.17 【情報源】企業/2016.05.10 発表
富士通グループの技術開発組織、富士通研究所は、船舶の運航に関するデータを活用・解析して実海域での燃費性能や速度などを誤差5%以下の高い精度で推定する技術を開発した。東京海洋大学のシミュレーションに組み込んで評価することで、最短航路を航海する場合と比べて従来より5%程度の燃費改善が可能になることを確認した。船舶業界でCO2排出量削減が求められ、燃料費削減も課題になっていることから開発した。気象・海象に対する燃費性能が正確に把握できると、最短の経路を航行するか、遠回りをしても波・風を避ける方が燃費が良いかが分かる。これまでは実海域での船舶の状態と風、波、海流などが複雑に影響する状況が考慮できないため誤差が大きかった。
開発した技術は船舶のビッグデータ(大量のデータ)を使う。独自の高次元統計解析技術を応用し、船舶が実際に航海した際の風、波、海流などの気象・海象のセンシングデータ、エンジンのログデータ、速度や位置データなどさまざまな実測データを統合して解析・学習する。実測データがない気象・海象条件での船舶性能が推定できる。
東京海洋大学との共同研究で同大が保有する風や波、船の燃料消費量などの実測データにこの技術を適用した。東京からロサンゼルスへの北太平洋航路で最適な航路を運航した場合、燃料消費量を5%程度削減し、CO2排出量が削減できることが分かった。今後予測精度を改善し、各種の船、航路で実証する。2016年度中の提供を目標にする。