一般財団法人環境イノベーション情報機構
三菱重工、大幅な省エネが可能な空冷ヒートポンプチラーを中部電力と共同開発
【エネルギー 省エネルギー】 【掲載日】2016.02.22 【情報源】企業/2016.02.16 発表
三菱重工業は、ビル用ガス空調や工場用のボイラーから更新することで大幅に省エネできる空冷ヒートポンプチラー「MSV」を中部電力と共同開発した。従来のチラーの課題を解決し、工場用ボイラーからの置き換えで年間のエネルギー量とランニングコストを約40%削減する。三菱重工が10月に発売する。年間で200台の販売を目標にした。ヒートポンプチラーは冷媒と水の熱交換で冷水や温水をつくり出し、空調や各種産業設備に供給する装置を指す。MSVは60℃の最高加熱温度を達成し、三菱重工の従来機と比べて加熱・冷却運転できる外気温度範囲を大きく広げた。これによって、ビル空調や工場のボイラーに使われているガスを熱源にした“吸収式冷温水機”からの更新が容易になる。
従来のチラーは最高加熱温度が55℃のため、ボイラーで加熱した約60℃の温水を使用する工場などで省エネを目的にチラーに置き換えると、加熱温度が下がる。同時に、運転可能な外気温度が限られる問題があった。商業ビルの空調でも、加熱温度が変わる影響で屋内の空調設備の改修が必要になることから、高温加熱できるチラーが求められていた。
MSVは、高効率圧縮機の採用とヒートポンプの運転最適化で60℃(外気温度−7〜43℃)の加熱運転を実現し、ビル用空調や工場用ボイラーから容易に更新できるほか、高効率のチラーの中でも省エネ性能を高めた。機械工場の洗浄工程での試算で、年間エネルギー量を40%削減する。40馬力相当の118kW機と50馬力相当の150kW機を開発した。【三菱重工業(株)】