東レ、米国ボーイングと新型機「777X」向けに炭素繊維長期供給契約を正式締結

【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2015.11.11 【情報源】企業／2015.11.09 発表

　東レは、米国ボーイングと、炭素繊維「トレカ」プリプレグ（炭素繊維樹脂含浸シート）を既存機「787」に加えて新型機「777X」向けに提供する、包括的な長期供給契約を正式に結んだ。2005年11月に締結した契約をさらに10年以上延長する。これに合わせて東レは、同国南東部のサウスカロライナ州の新規事業用地に生産設備を新設する。
　炭素繊維は従来の金属材料を置き換える軽量化材料で、787では当初から主翼、胴体などの構造部材に採用されている。機体が軽くなるため燃費性能が高められる。787は、現行の月産10機が2016年に同12機、2019年末までに同14機に引き上げられるほか、今後は派生型の導入によって炭素繊維複合材料の大幅な需要拡大が見込まれている。
　今回正式契約した777Xは現行の「777」後継の大型双発旅客機として、2020年の初号機納入に向けて開発されている。契約によって主翼材料へのトレカプリプレグの採用が正式に決まった。東レは現在、787の増産に対応するため米国子会社で2016年1月の稼働を予定して生産系列増設を進めているが、777Xへの供給で一貫生産設備を設ける。
　原糸（プリカーサ）から焼成まで行う年産能力2000tのトレカ生産設備と、トレカを使用したプリプレグの生産設備を新設する。2017年5月以降に原糸から順次生産を開始し、ボーイングへのトレカプリプレグの供給開始は2019年を計画する。今後の契約期間で、東レグループの供給総額は、1兆3億円（約110億ドル）を超える。【東レ(株)】