一般財団法人環境イノベーション情報機構
生物多様性分野における気候変動への適応の基本的考え方まとまる
【自然環境 生物多様性】 【掲載日】2015.07.31 【情報源】環境省/2015.07.31 発表
政府全体の「適応計画」策定に向けて、環境省自然環境局では、平成26年度に、12名の学識経験者からなる「生物多様性分野における気候変動の適応に関する検討会」(東北大学大学院中静座長)を開催した。ここでの検討を踏まえて、この度、「生物多様性分野における気候変動への適応についての基本的考え方」と「当面の具体的取組」をとりまとめた。「基本的考え方」は、生物多様性分野における、気候変動に対する適応に関し、取組や対応について基本的な考えをまとめたもので、主なポイントは、[1] 気候変動に対し生態系は全体として変化するため、これを人為的な対策により広範に抑制することは不可能。[2] 基本的には、モニタリングにより生態系と種の変化の把握を行うとともに、気候変動以外のストレスの低減や生態系ネットワークの構築により、気候変動に対する順応性の高い健全な生態系の保全と回復を図ること。[3] 限定的な範囲で、生態系や種、生態系サービスを維持するため積極的な干渉を行う可能性もあるが、相当慎重な検討が必要。[4] 各種適応策の実施による生物多様性への影響について、負の影響の回避や最小化、正の影響の最大化が必要。[5] 防災・減災や暑熱緩和など、生態系の有する機能を活用した適応策は、社会や経済両面で有効であり、特に人口減少化のわが国において取組を進めることが必要。-としている。
また、「当面の具体的取組」には、基本的考え方を踏まえ、政府全体の適応計画に位置付けるべき適応策や、生物多様性国家戦略の中で記載を具体化すべき要素、今後数年で推進すべき具体的な事業のイメージをとりまとめたものとなる。今後は、これらをもとに、生物多様性分野に関する適応について、政府全体の適応計画など具体的な計画等への反映や取組を進めていくとしている。【環境省】