一般財団法人環境イノベーション情報機構
日立・三菱電機・東芝・富士電機、東海道新幹線車両の新しい主変換装置を開発
【大気環境 交通問題】 【掲載日】2015.06.30 【情報源】企業/2015.06.25 発表
日立製作所・三菱電機・東芝・富士電機の4社は、東海道新幹線車両向けの新しい主変換装置をJR東海と共同開発した。次世代半導体のSiC(炭化ケイ素)素子を採用した。現行車両の「N700系」に搭載して東京−新大阪の営業線で走行試験を実施し、小型・軽量化や回路システム全体の省エネを実現しながら実用化水準の性能が得られることを確認した。JR東海は導入を検討する。新幹線車両の駆動システムは変圧器、主変換装置、走行用モーターを組み合わせている。このうち、主変換装置にSiC素子を採用した。主変換装置は、架線から変圧器を通して取り込んだ交流電圧を直流に変換するコンバーターと、直流をモーター駆動に必要な交流にするインバーターで構成する。SiCを適用した主変換装置による高速鉄道の営業線での試験は世界初となる。
SiC素子は発熱が少ないため、冷却システムを簡素化することで主変換装置を小型・軽量化できる。併せて、電気的な損失が低く効率が向上し、モーターも小型になる。従来品と比べて主変換装置のサイズを約55%、重量を約35%減らし、モーターの重さを約15%削減する。N700系の駆動システムと比較して約20%(1編成あたり10t程度)の軽量化と一層の小型化が可能になる。
これによって設計の自由度が高くなることに加え、低損失で省エネ駆動を実現する。試験走行で実用化のめどが立ったといい、東海道新幹線車両への導入を目指す。今後、試験データを基に詳細設計を進め、さらに小型・軽量化するとともに省エネ性能を高める。SiC素子を適用した駆動システムは2012年に検討を始め、2014年に装置の試作に着手し、今回走行試験を行った。【(株)日立製作所】