一般財団法人環境イノベーション情報機構
住友林業、京都・北野天満宮の御神木の梅保護で組織培養による苗木増殖に成功
【環境一般 CSR】 【掲載日】2015.03.16 【情報源】企業/2015.03.11 発表
住友林業は、京都市上京区の北野天満宮本殿前で御神木として祭られている梅の保護・保存を目的にした後継増殖の研究開発で、組織培養による苗木の増殖に成功した。貴重な梅を後世に引き継げる。御神木の梅は樹齢300年以上と推定される。梅の古木からの増殖成功および苗生産などの実用化を想定した研究開発としては、世界初の例だという。北野天満宮は947年に創建された。菅原道真を祭る全国の天満宮・天神社の総本社で、道真が梅を愛したことから約50種・1500本の梅が植えられている。御神木の梅は、道真が大宰府(福岡県太宰府市)に転勤した際に道真を慕って一晩で大宰府に飛来した「飛梅(とびうめ)伝説」伝承の木とされる。
後継増殖の研究は2009年12月に始めた。梅に感染するウイルスの広がりを受け、歴史的に貴重な御神木の梅を後世に引き継ぐために研究開発に着手した。組織培養はバイオテクノロジーの手法で、予備研究開発を経て2012年1月に御神木の梅から材料採取を開始した。冬芽から芽の分裂組織を摘出して培養し、伸びた芽を切り分け、発根を促す人工培養土に植えた後、温室内で育苗した。
今後DNA鑑定で品種調査を進めるとともに、北野天満宮の他の梅に関しても組織培養技術で保護・保存を進め、景観を守る。住友林業は開発した技術を基に、全国の梅の名木・古木増殖についても相談を受ける。北野天満宮は、組織増殖に成功した苗木を「『飛梅伝説』伝承の御神木 紅和魂梅(べにわこんばい)」と命名し、後世に伝えていく。【住友林業(株)】