一般財団法人環境イノベーション情報機構
IHI、低品位炭から肥料原料の合成ガスを製造する実証プラント建設、運転開始
【エネルギー その他(エネルギー)】 【掲載日】2015.03.05 【情報源】企業/2015.03.02 発表
IHIは、低品位炭で未利用エネルギーとされる褐炭から肥料の原料になる合成ガスを製造する褐炭ガス化炉の実証プラントをインドネシアに建設し、運転を始めた。2月26日に完成式を開いた。実証プラントは、同国最大の国営肥料統括会社の工場に造った。約2年間の長期実証運転を行い、運用性や耐久性を確認する。2015年内に商用機の受注活動開始を目指す。
褐炭は世界の石炭可採埋蔵量の約半分を占める低品位炭の1つで、東南アジア、欧州、オーストラリアなどに多く存在する。水分を多く含むため発熱量が低く利用が限られるが、豊富な埋蔵量と価格の安さから有効活用が期待される。IHIは褐炭の乾燥設備の開発や、褐炭だきボイラーの知見を保有する欧州企業の買収など、利用拡大に向けて取り組みを進めている。
IHIは今回、実績がある循環流動層ボイラー技術を応用してガス化炉「TIGAR」を自社開発した。低温、常圧で効率的に燃料をガス化できる上、建設費が安く、メンテナンス性にも優れる。化学原料や燃料など多様な用途に適用し、低品位炭のほかバイオマス、廃棄物など各種の燃料を活用できる。
TIGARの研究開発は経済産業省の支援を受けた。実証運転も同省からの補助金で実施する。実証プラントは、インドネシアの首都ジャカルタ中心部から東に約75kmのチカンペック市の工場に設けた。1日50tの褐炭を処理し、1時間当たり1800m3の合成ガスを発生させる。蒸気の発生量は同4.5tとなる。商用機では褐炭の処理量を1日500〜1000tにする。【(株)IHI】