一般財団法人環境イノベーション情報機構
富士通研究所、ICT機器に適用できるバイオ素材を使った水性植物性塗料を開発
【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2014.12.15 【情報源】企業/2014.12.10 発表
富士通グループの研究開発組織、富士通研究所は、バイオ素材を使った水性植物性塗料を開発した。塗膜性能の課題を解決し、サーバーやパソコンなどのICT(情報通信技術)機器のプラスチック本体への使用に適用する。従来の溶剤系塗料と比べてCO2の発生量とVOC(揮発性有機化合物)を大幅に削減する。2016年度の実用化を目指し、富士通製品に使用する。開発した水性植物性塗料は、バイオ素材のポリ乳酸樹脂のエマルションを使い、特殊塗料のミカサペイント(千葉県市川市)の協力でICT機器に適用できる塗膜性能を得られるようにした。エマルションは、混じり合わない2種の液体の一方が他の液体中に微粒子状で分散している溶液を指す。今回、硬化反応と樹脂粒子の融着との両方の効果で塗膜化した。
バイオ素材によるCO2排出削減に加え、大気汚染の原因になるVOC削減も重要になっていることから、水性にした。ICT機器の塗装を溶剤系塗料から水性植物性塗料に切り替えるには硬度、密着性、耐薬品性、耐候性などが問題だったが、開発した水性植物性塗料でクリアした。CO2排出量を60%削減すると同時に、VOCも溶剤系塗装と比較して80%削減できる。
富士通は、トウモロコシなどを原料にするポリ乳酸系のバイオプラスチックを2002年からノートパソコン本体に採用した。近年では材料のほか溶剤系塗料にもバイオ系素材を使っている。植物性ではない水性塗料は2013年にサーバーに適用した。新開発の水性植物性塗料は、CO2とVOCの両方を削減する。富士通研究所は、調色や量産技術の研究開発を進める。【(株)富士通研究所】