一般財団法人環境イノベーション情報機構
富士通研究所、オーストラリア国立大と山火事後の天然林の新しい管理法を提案
【地球環境 森林の減少】 【掲載日】2014.11.13 【情報源】企業/2014.11.11 発表
富士通グループの研究開発組織、富士通研究所は、「世界公園会議(世界保護地域会議)2014」で、山火事後の天然林の新しい管理法をオーストラリア国立大学(ANU)と共同で提案する。CO2排出を抑制する炭素貯留と希少動物保護の観点から、従来の方法とは大きく異なる持続可能な方法を提言する。オーストラリアには世界の4%にあたる1億5600万haの森林があり、日本も木材チップ輸入の27%を同国に頼っている。しかし同国では近年、山火事が多発している。山火事後の森林は天然林でも全て伐採し、残った木くずを焼き払って植林することが一般的だった。生物が生息しにくい環境だとして、生物保護区としての価値も考慮されてこなかった。
富士通研究所とANUは、CO2の排出や生物多様性への影響が大きい山火事を対象に2012年10月から共同で研究を行ってきた。ANUが取得した山火事後の森林の生態系データを使い、富士通研究所の環境負荷定量評価技術を適用。森林の変化と炭素量の関係を解析するとともに、希少な生物になっている有袋類のポッサムについて、山火事前後の生息数を調べた。
その結果、従来の全ての伐採・植林より森林の自然の回復力を活用する場合の炭素貯留量は2倍以上になり、焼け残った木の穴の状況・状態によってポッサムは山火事の場所に戻ることが分かった。世界公園会議2014はシドニーで11月12日から開催され、富士通研究所とANUは山火事後の森林の自然の回復力を活用すべきであることや、ポッサムの保護区を設定すべきであることを提案する。【(株)富士通研究所】