東芝、JR九州の新型車両向け駆動システム受注、レアアース不使用の電動機など

【エネルギー 省エネルギー】 【掲載日】2014.09.05 【情報源】企業／2014.09.03 発表

　東芝は、JR九州の新型通勤形車両向けの駆動システムを受注した。レアアース（希土類）のジスプロシウムを使用しない永久磁石を採用した、全閉型永久磁石同期電動機（全閉PMSM）と、消費電力量が削減できる4in1VVVF（可変電圧可変周波数制御）インバーター装置を組み合わせた。JRグループの量産型営業車両で初めてこのシステムが導入される。
　新型車両は「305系」で、筑肥線の姪浜駅（福岡市）−唐津駅（佐賀県唐津市）と唐津線の唐津駅−西唐津駅（同）で使われ、姪浜駅−西唐津駅44.8kmを運行する。姪浜駅からは、福岡市地下鉄の空港線に乗り入れる。全閉PMSMは、定格効率97％の高効率電動機で、一般的に車両に使用される開放型誘導電動機の90％と比べ効率が向上する。
　全閉構造のため内部清掃不要で、メンテナンスしやすい。全閉PMSMの永久磁石には、新開発のサマリウム・コバルトと呼ぶ磁石を採用した。レアアースの中でも希少で、供給・価格高騰リスクがあるジスプロシウムを使用しない。技術は、新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）の希少金属代替・削減技術実用化開発助成事業の成果を含む。
　4in1VVVFは、1台の冷却器に対して4つのインバーター回路を配置したユニットを2台搭載する。8台の全閉PMSMを1台のVVVFインバーター装置で駆動でき、加速時の消費電力を削減する。同時に、独自の制御方法で回生電力量を増やし、車両全体の省エネを可能にした。東芝は今後も、省エネ効果が高い製品を開発して世界規模で受注活動を展開する。【(株)東芝】