一般財団法人環境イノベーション情報機構
東レ、有機薄膜太陽電池で世界最高水準となる10%超のエネルギー変換効率達成
【エネルギー 再生可能エネルギー】 【掲載日】2013.09.26 【情報源】企業/2013.09.20 発表
東レは、薄くて柔軟性がある軽量の次世代太陽電池、有機薄膜太陽電池で世界最高水準となる10%超のエネルギー変換効率を達成した。心臓部となる光から電気を作る発電層で、光が当たると電子を放出する材料を新たに開発し、光吸収特性と導電性を高い次元で両立させた。2015年ごろの実用化を目指して一層の性能向上を図る。有機薄膜太陽電池は各種の太陽電池の中で最も薄く、容易に製作でき、コストを抑えられることから、次世代の太陽電池として開発が進められている。シリコンや無機化合物で発電層を構成する従来の太陽電池に対し、太陽光の吸収と電気の発生を有機化合物が担い、発電層が非常に薄いことから、有機薄膜太陽電池と呼ばれる。
有機薄膜太陽電池が持つ薄さ、軽さと柔軟性の特長を生かし、建物の壁面や車載用など従来なかった新たな用途への展開が期待される。その一方、太陽光を電気に変えるエネルギー変換効率の低さが課題になっている。東レは独自技術を駆使し、変換効率向上のポイントとなる光が当たると電子を放出する新たな材料を開発した。
発電メカニズムを解析して開発を進め、化学構造の最適化などで実現し、最も低コストで製造できる発電層1層の単層素子で10.6%の変換効率が得られた。従来の材料は5.5%程度にとどまる。さらに厚さを従来の3倍となる300n(ナノ)m(1nmは1mmの100万分の1)にして耐久性も高めた。今後、技術を確立して実用化を進める。【東レ(株)】