一般財団法人環境イノベーション情報機構
ローム、SiCパワー半導体で無停電電源装置の損失を低減
【エネルギー 省エネルギー】 【掲載日】2013.06.25 【情報源】企業/2013.06.20 発表
ロームは、関西電力や関電グループで電力関連装置を手掛けるエネゲートとともに、高効率のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体素子を使用した無停電電源装置(UPS)の開発を推進する。試作に成功したことから製品化を進める。SiCは従来のSi(シリコン)に比べて電力損失が少なく、電力変換の損失を3割低減できる。ロームは電力制御機器の変換効率向上を狙いに、フルSiCパワーモジュールの電力損失の低さに着目し、2012年3月に世界で初めて量産を始めた。今回、フルSiCパワーモジュールをUPSに適用した。フルSiCパワーモジュールは、内蔵するダイオード、スイッチング素子といったパワー半導体素子すべてをSiCで構成した半導体モジュールを指す。
UPSは、停電や電源障害時にも電力を供給する装置で、通信機器や生産設備の制御装置に利用されているほか、発・変電所にも設置している。停電時以外でも装置内を流れる電流・電圧の交流・直流を変換しているため、電力損失の低減が課題になっていた。関西電力とエネゲートはロームのフルSiCパワーモジュールを適用したUPSを試作した。
試作したUPSは、従来型と比べて電力変換損失を約3割低減し、同等容量のUPSで国内最高水準の電力変換効率を達成した。今後フィールド試験で性能を検証すると同時に、一層の低損失化や小型化、騒音の抑制などに取り組んで製品化を目指す。国内のUPSが全てフルSiCパワーモジュールになると、10万kW以上の電力損失が低減されるという。【ローム(株)】