一般財団法人環境イノベーション情報機構
住友商事、カザフスタンでウラン鉱石の残さを活用したレアアース製造工場が開所
【ごみ・リサイクル リサイクル】 【掲載日】2012.11.07 【情報源】企業/2012.11.05 発表
住友商事がカザフスタン国営原子力公社のカザトンプロムと共同出資して同国に設立したレアアース(希土類)製造会社、サレコの工場が開所した。ウラン鉱石の残さを活用してレアアース混合物(混合炭酸希土)を生産し、日本に輸出する。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の普及で需要増加が見込まれるジスプロシウムやネオジムを豊富に含む。サレコは、住友商事が49%、カザトンプロムが51%出資してウスチカメノゴルスク市に設立した。ジスプロシウムやネオジムはHVやEVのモーターなどに不可欠。カザフスタンには、かつて露天掘りで採掘されたウラン鉱石残さが大量に存在し、その中に多く含まれることが確認されたことから、回収・生産を始める。2009年8月から共同で準備してきた。
初期の段階では年間1500tの生産を目指し、日本向けに2013年1月に輸出を始める見通しとなり、日本の最先端産業、新技術開発で最重要課題になるレアアースの安定供給体制構築につなげる。今後は、レアアース供給事業を手掛ける信越化学工業の技術協力を受け、レアアース混合物からそれぞれの元素を分離して高純度にする生産体制確立を視野に入れる。
このレアアース回収・生産事業は、日本の資源確保戦略の一環として経済産業省、資源エネルギー庁なども注目。工場の開所式には、日本政府の経済産業副大臣や在カザフスタン特命全権大使も出席し、政府の意気込みの強さがうかがえる。カザフスタン側も石油、天然ガス、ウランなど既存の鉱物資源に次ぐ新たな国家プロジェクトに位置付けている。【住友商事(株)】