一般財団法人環境イノベーション情報機構
日立製作所、メタノール直接供給タイプの燃料電池のコストを低減する電極開発
【エネルギー その他(エネルギー)】 【掲載日】2012.10.12 【情報源】企業/2012.10.10 発表
日立製作所は、メタノールを直接供給するタイプの燃料電池(DMFC)のコストを大幅に低減する電極を開発した。従来、電極に使用されている高価な白金を使うことなく発電が可能になる。DMFCは水素を燃料にする燃料電池と異なり、水素を製造する付属機器が不要なため小型化が容易。災害時に利用できる可搬型など小型電源への適用を目指す。DMFCは、水素と酸素の化学反応で発電する燃料電池と違い、メタノールを燃料にして、その酸化反応によって発電する。電極は、空気中の酸素によって還元反応を行う空気極と、メタノールを酸化反応させる燃料極があり、メタノールの酸化反応を推進すると同時に、メタノールや酸素など反応物質の供給や、水など生成物の排出を効果的に行うことが必要になる。
これまで電極には、反応を迅速に進める白金か、白金を含む合金触媒が使われていた。しかし、電池のコストに占める比率が高くなっていたうえ、酸化反応で生成された一酸化炭素が空気極の白金に吸着して発電性能が低下する課題もあった。日立は、材料・システムの研究開発を行い、今回、白金を使用しない電極を開発した。従来と比べ、電池のコストを約45%低減できるという。
空気極には、炭素に窒素を添加(ドープ)させた窒素ドープカーボン触媒を、燃料極には、パラジウムにルテニウムを加えたパラジウム-ルテニウム合金触媒を、それぞれ開発して適用した。移動可能な電源へのニーズの高まりと、CO2排出を抑える電源が求められる状況を背景に、DMFCは注目されている。日立は研究を続け、開発した電極での製品化を進める。【(株)日立製作所】