一般財団法人環境イノベーション情報機構
東レ、透湿性・防水性を両立する植物由来の生分解性微多孔ポリ乳酸フィルムを開発
【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2012.08.13 【情報源】企業/2012.08.08 発表
東レは、透湿性と防水性を両立させた植物由来の生分解性の新素材、微多孔ポリ乳酸フィルムを開発した。農作物の保温や雑草抑制などに効果がある農業用のマルチフィルムや紙おむつ、生理用品などに利用できる。植物が原料のバイオマス(生物資源)のため、化石資源の使用量とCO2排出量を抑えられる。2014年までの早い時期の生産技術確立を目指す。ポリ乳酸は、トウモロコシなど植物のデンプンから合成される生分解性の化合物。生分解性は、微生物によって分解されて無機物になる性質を意味し、植物由来と両面で環境負荷を低減する。透湿性と防水性のあるフィルムには、主に微多孔ポリエチレンフィルムが使われるが、廃棄物処理の問題や環境配慮から生分解可能な化合物への置き換えが求められている。
透湿性と防水性を両立するフィルムでは、空気を通して水を通さない微細な穴(孔)が必要になる。しかし、ポリ乳酸は孔を均一に配置させにくいことから、乾式法と呼ばれる生産性の高い方法で透湿性と防水性のあるフィルムを製造するのは困難とされてきた。東レは今回、独自の高分子技術などで、生分解性微多孔ポリ乳酸フィルムを乾式法で製造することに世界で初めて成功した。
孔の大きさや密度も制御でき、ニーズに応じて透湿性と防水性を持たせることも可能になる。開発した生分解性微多孔ポリ乳酸フィルムは、構成する化合物の全てが生分解性を持つと同時に、バイオマスの度合いが高く、環境に配慮した循環型社会の実現に貢献できるという。東レは今後、生分解性微多孔ポリ乳酸フィルムの実用化に向け、量産技術の開発を進める。