一般財団法人環境イノベーション情報機構
竹中工務店、名古屋の「蝶の飛ぶまちプロジェクト」でプランターでの繁殖効果確認
【自然環境 生物多様性】 【掲載日】2012.07.05 【情報源】企業/2012.06.28 発表
竹中工務店は、名古屋市中心部の中区で展開しているチョウを呼び寄せる試み「蝶の飛ぶまちプロジェクト」で、都市部のプランター程度の小規模緑地でも繁殖に効果があることを確認した。プランターを小型ビオトープ(生物の生息空間)にしてチョウを誘致し、都市に点在する緑地をつなぐための休息場や餌を採る中継地点になるかどうかを調べた。プロジェクトは、都市の再開発や街作りで生物の移動を可能にする都市生態系ネットワークづくりが注目されていることから、生物多様性保全を狙いに2010年4月に始めた。4〜10月に月2回調査し、2010年度は植物を植えたプランターを10カ所に設置して計14回、2011年度は11カ所と既存緑地5カ所に置いて計13回実施。チョウの種類、数、成長段階、行動を目視で調べた。
これまでの調査の結果、繁殖については、チョウが好む植物を植栽すると有効なことが分かった。各プランターで2010年度に、繁殖した卵・幼虫・サナギなどを3〜5種確認。プランターの植栽はチョウの成長に好まれる植物を重視し、蜜がある植物の割合が少なかったため、種類は多くなかったが、既存の緑地と比べると成虫に対する卵・幼虫・サナギの割合は多かった。
チョウの成長に好まれる植物を植えれば、都市部のプランターでも繁殖に効果があり、緑地と緑地を結ぶ中継地点になっている可能性が高い、とみられる。一方、チョウによって蜜のある植物の好みが分かれ、どの種類のチョウにも利用されず、誘因効果がない植物もあった。今回は中間結果となり、2012年度も調査を継続して移動・分散に影響する要因の分析を進める。【(株)竹中工務店】