日立製作所、火力発電所からのCO2回収実証試験をカナダの電力大手と共同で実施

【地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2012.03.26 【情報源】企業／2012.03.21 発表

　日立製作所は、カナダの電力大手、サスカチュワン州電力公社（サスクパワー）と共同で、石炭火力発電所の排出ガスからCO2を分離・回収する試験設備を建設し、実証試験を実施する。試験は2014年夏頃に始める予定になっている。サスクパワーが展開する石炭燃焼でのCO2排出削減プロジェクトの一環。実証試験費用の総額約50億円は、日立とサスクパワーが出す。

　CO2分離・回収の試験設備は、サスクパワーがカナダ中西部のサスカチュワン州エステバン市近郊に所有するシャンド石炭火力発電所（298MW＝29万8000kW）に造る。1日120tのCO2を分離・回収し、回収効率やエネルギー使用量などを調べる。試験設備には両社のCO2回収技術やノウハウを集め、大型商用機を視野に設備の信頼性、経済性などを総合的に実証する。

　カナダではCO2排出抑制をはじめ温暖化対策が求められ、CO2回収・貯留の技術開発、実証試験を推進する。中でもサスクパワーは、CO2排出が多い石炭燃焼のマイナス面を減らすクリーンコールプロジェクトとしてCO2回収・貯留の技術開発に取り組み、別の石炭火力発電所で世界有数の大型実証プロジェクトを実施し、日立は蒸気タービン・発電機を受注している。

　日立はこの大型実証プロジェクトと、今回始める実証試験で確立する技術を合わせ、CO2回収・貯留の総合的なシステム構築に役立てる。実証試験で日立は、主要機器やCO2を吸収する液を担当する。日立はサスクパワーのクリーンコールプロジェクトを通じてCO2分離・回収の商用運転の実用化や低コスト化を図り、低炭素エネルギー技術の開発を進める。【（株）日立製作所】