一般財団法人環境イノベーション情報機構
住友林業、京都・仁和寺の名勝「御室桜」の組織培養苗の試験植栽を各地で開始
【環境一般 CSR】 【掲載日】2012.02.23 【情報源】企業/2012.02.21 発表
住友林業は、京都市右京区の寺、総本山仁和寺(にんなじ)の名勝「御室桜(おむろざくら)」の増殖に組織培養で成功した。苗木を寺に里帰りさせるとともに、土壌や気候条件が異なる全国各地で試験植栽を始める。東日本大震災の被災地域の小中学校が参加する試験植栽も検討する。樹勢の衰えが目立ったため、景観維持を目的に研究プロジェクトを始めた。仁和寺の御室桜は遅咲きの背丈の低い桜で、京都の春を最後に彩ることから知名度が高く、「古都京都の文化財」としてユネスコの世界文化遺産にも登録されている。1646年(天保3年)に植えられたとされ、樹齢360年を超える。2007年4月に仁和寺と住友林業グループ、千葉大学園芸学部が御室桜研究プロジェクトを立ち上げ、成長、土壌、根の調査や苗木増殖、DNA鑑定などを行ってきた。
御室桜の苗木は株分けで増殖されてきたが、株分けの段階で花びらが数多く重なって咲く本来の八重咲きではなく、花びらが重なり合わない一重咲きになるケースが多かった。住友グループの筑波研究所(茨城県つくば市)は、芽の分裂組織を摘出する茎頂(けいちょう)培養と呼ぶ組織培養法の手法を使い、八重咲きになる可能性が高い増殖技術を開発し、八重咲きを受け継げるようにした。
最初の苗木が植栽できる大きさに達したことから、試験植栽する。仁和寺境内に加え、住友林業グループの管理地がある宮崎、愛媛、神奈川、茨城県と、東北地方を予定し、各1〜10数本植える。仁和寺では段階的に計50本近い培養苗を植栽する計画。東北では複数の小中学校との共同調査も検討する。仁和寺は、宇多天皇によって888年(仁和4年)に完成。真言宗御室派の総本山になっている。【住友林業(株)】