一般財団法人環境イノベーション情報機構
北極圏上空で史上最大のオゾン破壊が進行中 −ヨーロッパやロシアの一部が影響下に−
【地球環境 オゾン層】 【掲載日】2011.04.07 【情報源】国立環境研究所/2011.04.06 発表
平成23年4月6日の国立環境研究所の報道発表により、北極圏における15カ国・30か所のオゾンゾンデ※1 観測点における観測から、この冬から春にかけて史上最大となるオゾン破壊が進行中であることが明らかになった。このオゾン観測ネットワークによると、北極上空からスカンジナビア半島にかけての極渦※2 内に、これまで観測された中では最大規模のオゾン破壊が観測されていることがわかった。また、この低オゾン領域が今後ロシアの方に向かって東に移動していき、中国・ロシア国境付近にまで達するであろうことが、気象モデルから予測されている。このような大規模なオゾン破壊が確認されたのは、1992年にオゾンゾンデ観測キャンペーンを開始して以降初めて。
WMOによると、今冬初めから3月下旬までの北極上空におけるオゾン全量の破壊量は40%に達し、これまでに観測された最大値である30%をすでに上回っている。
国立環境研究所では、温室効果ガスの近年の増加に伴い、成層圏では寒冷化することが想定され、大規模なオゾン破壊を引き起こすもととなる状況が、今後北極圏上空で増える事態も懸念されることから、南極オゾンホールの回復状況とともに、今後は北極上空の様子にも、より注視していく必要があるとしている。
※1 オゾンを測定する装置を載せた気球によって、地表付近から地上約35kmまでのオゾン量を直接観測する機器。
※2 北極・南極上空の成層圏に冬季にできる、低気圧性の渦。冬季の強い西風の極夜ジェット気流に囲まれるため、低緯度からの暖気気流の流入が妨げられ、冬季には太陽光も当たらなくなるため加熱もなくなり、極渦の内部ではオゾンの破壊を引き起こすもととなる低温状態が維持される。
【国立環境研究所】