一般財団法人環境イノベーション情報機構
JFEグループ、ほぼ常温・常圧でCO2を分離・回収する技術を世界で初めて開発
【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2010.11.22 【情報源】企業/2010.11.18 発表
JFEエンジニアリングは、CO2をほぼ常温・常圧でシャーベット状の固体(ハイドレート)にして分離・回収する技術を世界で初めて開発した。CO2を微細気泡化して水と混合したうえで新開発の蓄熱媒体を微量加えることで、CO2の固体化を促進する。実プラント規模では、従来の約半分のコストでの分離・回収が可能になる。蓄熱媒体は、同社の蓄熱空調システムに使用している蓄熱材「ネオホワイト」で、7℃程度でハイドレート化する新しい物質。この技術を発展させ、CO2のハイドレート化に必要な圧力や温度条件がコントロールできることを発見した。CO2を含む水を特定の圧力下で低温にするとハイドレート化できるが、高圧・低温にするランニングコストが高く、実用化は困難だった。今回、常温・常圧でハイドレード化を可能にした。
実験では、温度18℃、圧力0.11Mpaのほぼ常圧・常温でハイドレート化した。この技術を使うとCO2分離・回収コストが削減できる。実プラント規模では、1tのCO2を2500円程度で処理する。従来の化学吸収法と異なり、吸収した溶液からCO2を分離する熱エネルギーが不要。より広範な排出源に適用でき、従来1tのCO2の分離・回収に必要な約4200〜5800円かかるコストを半減する。
JFEエンジニアリングは、新技術の開発を受けて今後、火力発電所や製鉄所などの燃焼排ガスからのCO2分離・回収プラントを前提に実験を実施し、年間30〜100万tのCO2を扱う大型設備への導入を目指していく。