一般財団法人環境イノベーション情報機構
平成19年度及び20年度に実施した臭素系ダイオキシン類排出実態調査結果を公表
【健康・化学物質 ダイオキシン】 【掲載日】2010.04.07 【情報源】環境省/2010.04.06 発表
環境省は、平成19年度及び20年度に行った臭素系ダイオキシン類排出実態調査の結果を22年4月6日までにとりまとめた。臭素系ダイオキシンは通常のダイオキシン類の「塩素」の1つ以上が「臭素」に置き換わった物質。塩素が1つだけ臭素に置換したものを「モノ臭素ポリ塩素化ダイオキシン類」、全ての塩素が臭素に置換したものを「臭素化ダイオキシン類」という。臭素系難燃剤が混入している家電製品のプラスチックなどが不完全燃焼すると発生するとされている。
今回公表したのは、平成19年度に実施した難燃繊維加工施設3施設に対する[1]施設からの排出実態、[2]試作染色試験機による排出実態解明調査及び[3]難燃剤及び染料等の調査と平成20年度に実施いした難燃プラスチック製造施設2施設に対する[1]施設からの排出実態、[2]周辺環境状況及び[3]難燃剤及び製造製品等を調査した結果。
公表によると難燃繊維加工施設の調査からは、排水処理後の総合排水から、他施設に比べ依然高い濃度レベルのPBDDs/PBDFsが検出され、その6〜9割は懸濁態として存在していることがわかった。
また、試作染色試験機や難燃剤及び染料等の調査結果から、難燃繊維加工施設からのPBDDs/PBDFsの排出には、使用している染料や難燃剤に不純物として含まれるPBDEsやPBDDs/PBDFsの影響が大きいことが示唆された。
難燃繊維加工施設からのPBDDs/PBDFsの排出を削減させるためには、使用している染料や難燃剤中のPBDEsやPBDDs/PBDFsの割合を低下させることや、排水処理施設における排水中の懸濁態に着目した除去方法の導入等の検討が重要であるとしている。
また、難燃プラスチック製造施設の調査からは、排出ガスについては、他施設に比べ濃度レベルは低いが、両施設からPBDDs/PBDFsが検出された。排出水については、TBBPAエポキシ樹脂製造施設の工程排水からやや高い濃度のPBDDs/PBDFsが検出されたが、両施設とも総合排水ではPBDDs/PBDFsは検出されなかった。
また、環境大気、降下ばいじん、公共用水域水質及び底質中のPBDDs/PBDFs濃度はこれまでの調査に比べ低いレベルであった。
これらのことから、当該難燃プラスチック製造施設からのPBDDs/PBDFsの排出については、周辺環境への影響は小さいものと考えられるとしている。【環境省】