一般財団法人環境イノベーション情報機構
在宅医療廃棄物を回収していない自治体が51.5% 市町村などへアンケート調査結果
【ごみ・リサイクル ごみ処理】 【掲載日】2007.08.06 【情報源】環境省/2007.08.06 発表
環境省は全国の1,803市町村、378事務組合(注1)を対象に実施した、「在宅医療廃棄物の処理に関するアンケート調査結果」を平成19年8月6日付けで公表した。今回のアンケートは、在宅医療に伴い家庭から排出される廃棄物の適正処理を指導した17年9月の通知「在宅医療に伴い家庭から排出される廃棄物の適正な処理について(注2)」に基づく在宅医療廃棄物の処理状況、処理の課題などを調査したもの。
調査の結果、17年の通知に対し何らかの対応を行った市町村は45.9%にのぼり、対応を検討中の市町村も5.6%あった。
また、一般廃棄物処理計画などで、すべての在宅医療廃棄物を回収するとした市町村は5.3%、注射針以外の在宅医療廃棄物を回収するとした市町村は25.7%あったが、一方で、脱脂綿・ガーゼなども全く回収しない市町村も51.5%(注3)にのぼることが把握された。市町村が回収しない在宅医療廃棄物については、72.6%の市町村が「医療関係者が処理している」と回答していた。
市町村が在宅医療廃棄物の処理を一般廃棄物処理計画などに位置付ける際の課題を聞いた質問では、「在宅医療廃棄物の種類や危険性に関する情報不足(63.5%)」をあげた自治体が最も多く、市町村が実際に在宅医療廃棄物処理を行う際の課題としては、「情報不足による危険性のわかりにくさ(72.3%)」、「在宅医療廃棄物回収に対する心理的抵抗(40.2%)、「患者のプライバシーへの配慮の必要性(32.7%)」などをあげた自治体が多かった。
環境省はこの結果について、「17年通知で示した方法に従って、在宅医療廃棄物を回収している市町村は31.0%(注4)に過ぎず、市町村の取組みには改善の余地がある」と分析。今回の調査で判明した課題への対応策を含む在宅医療廃棄物の適正処理推進策を今後、検討していくとした。【環境省】
(注1)1,798市町村、376事務組合から回答が寄せられた。回収率は99.7%。
(注2)この通知は、環境省の「在宅医療廃棄物の処理の在り方検討会」が16年度にまとめた「在宅医療廃棄物取扱方法検討調査報告書」を参考にして、地域の状況に応じた在宅医療廃棄物処理方法を検討した上で、一般廃棄物処理計画の中に位置づけることなどを市町村に求めたもの。なお、「在宅医療廃棄物取扱方法検討調査報告書」は、(1)注射針などの鋭利な物は医療関係者あるいは患者・家族が医療機関へ持ち込み、感染性廃棄物として処理すること、(2)その他の非鋭利な物は、市町村が一般廃棄物として処理すること−−を現段階で「最も望ましい在宅処理医療廃棄物方法」として提案している。
(注3)回収方針未定含む。
(注4)すべての在宅医療廃棄物を回収するとしている市町村と、注射針以外の在宅医療廃棄物を回収するとした市町村の合計。