一般財団法人環境イノベーション情報機構
保安院、中越沖地震による柏崎刈羽原発の被災状況を公表
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2007.07.20 【情報源】原子力安全・保安院/2007.07.19 発表
原子力安全・保安院は平成19年7月19日、甘利経済産業大臣からの指示を受け、加藤重治審議官ら職員4名が実施していた、新潟県中越沖地震(注1)による柏崎刈羽原発の被災状況調査の結果を公表した。今回の調査では、(1)3号機変圧器での火災発生から鎮火に至るまでの事実関係の確認、(2)6号機から海への放射性物質を含む漏水についての事実関係の確認、(3)7号機主排気筒からのヨウ素検出など放射性物質漏えいについての確認、(4)その他の設備の損傷状況の確認−−が行われた。
このうち(1)については、当日に休祭日当番として出勤していた職員が、原子炉停止についての関係方面への連絡に忙殺され、3号機変圧器での火災発生状況を把握できず、結果的に自衛消防隊を招集することができなかったことや、消火活動が発電所に備え付けられている防火衣などの消防資機材を装備することなく実施されたことが把握され、保安院は「東電の消火活動の初動体制に改善すべき点があった」として、今後東電に改善を指導することを対応方針として示した。
また(2)については、放射線管理区域上にあふれ出した使用済燃料プールの水が原子炉建屋放射線管理区域直下の非管理区域中3階天井部にある端子箱から漏水し、中3階を経由して3階床の排水口を通り、ポンプによって海に放出されたことや、「非管理区域の漏水なので放射能は含まれない」という関係者の思い込みなどから、事実の把握や報告が遅れたことが確認され、保安院は漏水経路確認や報告体制確立について、東電を指導するとした。
さらに(3)については、7号機主排気筒からの検出されたヨウ素について放出時期を特定することができなかったこと、1〜6号機では地震発生を挟む1週間の間にヨウ素が検出されていないことが確認され、保安院がヨウ素の検知と地震発生との因果関係の解明を東電に指示したことがあきらかにされた。
(4)については1〜7号機の原子炉建屋放射線管理区域での使用済燃料プール水の飛散、ろ過水タンクの水漏れ、主排気筒のダクトのずれなどの被害や、原子炉建屋で観測された加速度振幅値の記録が東電の発表内容と相違がないことを確認したことが報告され、保安院が引き続き、被災状況を確認し、新事実が確認された場合に公表することが示された。【原子力安全・保安院】
(注1)新潟県中越沖地震は19年7月16日、柏崎刈羽発電所から約9キロメートル離れた新潟県中越沖を震源として、マグニチュード6.8の規模で発生した地震。当時柏崎刈羽原発の1号機、5号機、6号機は停止中だったが、運転を行っていた2号機、3号機、4号機、7号機は自動停止した。