一般財団法人環境イノベーション情報機構
アスベスト被害救済制度の医療費適用医学判定 25件への適用、11件の判定保留が決定
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2007.05.25 【情報源】環境省/2007.05.25 発表
環境省は平成19年5月25日、(独)環境再生保全機構から要請があった52件(注1)の中皮腫・肺がん罹患事例について、アスベスト被害救済制度による医療費を適用すべきかどうかの医学判定を行った。「アスベスト救済法」では、時効により労災補償の対象とならないアスベスト健康被害認定患者に環境再生保全機構を通じ、医療費などの救済給付金を支払うとしている。患者の認定は、環境再生保全機構から医学判定の申し出が行なわれた事例に対して、環境大臣が中央環境審議会の意見を聴いた上で判定を行い、この判定結果にもとづき、機構が行うことになっている。
今回、判定が求められた事例は、中皮腫に罹患したとされる事例34件と、肺がんに罹患したとされる事例18件。
判定の結果では、うち25件(中皮腫18件、肺がん7件)が「アスベストが原因で中皮腫・肺がんにかかった」、16件(中皮腫8件、肺がん8件)が「アスベストが原因とはいえない(中皮腫ではない)」とされたが、残り11件(中皮腫8件、肺がん3件)は「アスベストが原因で中皮腫・肺がんにかかったかどうか不明であり、判定を保留する」とされた。
これまでの判定分とあわせると、医療費適用対象とする罹患事例の累計は914件(中皮腫722件、肺がん192件)となった(注2)。
なお判定が保留された事例に対しては、(独)環境再生保全機構が申請者や医療機関に必要資料の追加提出を求め、改めて判定を行うことになる。【環境省】
(注1)うち26件は以前に判定保留とされたもの。今回資料が提出があったため、改めて判定された。
(注2)19年5月25日には、このほかにも、特別遺族弔慰金などを請求している19件(中皮腫2件、肺がん17件)に関しても、別途医学判定が行われた。特別遺族弔慰金や特別葬祭料を請求できるのは法施行前の死亡者の遺族に限られている。19件中5件(すべて肺がん)は「アスベストが疾患の原因」、他の4件(すべて肺がん)については「アスベストが疾患の原因とはいえない」と判定された。これ以外の10件(中皮腫2件、肺がん8件)は判定保留。19年5月25日時点で特別遺族弔慰金などの支払い対象となった案件の累計は61件(中皮腫1件、肺がん60件)。