一般財団法人環境イノベーション情報機構
「排水基準を定める省令」改正案の意見募集結果公表 ほう素・ふっ素・硝酸性窒素の暫定排水基準の19年7月以降の取扱い示す
【水・土壌環境 水質汚濁】 【掲載日】2007.05.25 【情報源】環境省/2007.05.25 発表
環境省は、水質汚濁防止法に基づき設定されている「ほう素」・「ふっ素」・「硝酸性窒素」に関する暫定排水基準の平成19年7月以降の取扱いを定める「排水基準を定める省令」改正案に対する意見募集結果を、19年5月25日付けで公表した。「ほう素」・「ふっ素」・「硝酸性窒素」に関しては、11年にこの3物質に関する環境基準が設定されたことを受け、一律排水基準(注1)が設定され、13年7月から施行されている。
ただし、施行時に排水基準の達成が困難とみなされた40業種に関しては、16年7月までの3年間に限った措置として、暫定排水基準を適用することが当時決定され、16年7月時点でも、依然排水基準達成が困難だった26業種について、19年7月までさらに3年間暫定措置を延長することが決まっていた。
今回の意見募集対象となった省令改正案は、26業種から聴取した情報、都道府県から提供を受けた排水データ、排水処理技術の専門家の意見をもとに、(1)5業種については一律排水基準へ移行、(2)12業種については暫定排水基準値を強化した上で延長、(3)2業種については暫定排水基準を一部物質について強化して延長、(4)残る7業種については現行の暫定排水基準値のまま延長−−するとしていた。
公表内容によると、19年4月19日から5月18日にかけての意見募集期間中に、この案に対して112名から133件の意見が寄せられた。
意見にはたとえば、「金属鉱業系企業は、神経障害や生殖障害などの毒性が懸念されているほう素を非常に多く排出し、暫定排水基準を19年7月に撤廃する予定であったのに、延長理由が不明である。早急に暫定排水基準を撤廃してほしい」、「自然由来の温泉排水は工業排水とは一線を画するもので、規制は撤廃すべきだ」などの内容があり、この意見に対してはそれぞれ、「金属鉱業からの排水実態や排水処理技術の技術課題などを確認し、専門家らが検討を行った結果、今回の暫定基準延長が決まった。ほう素は人体に有害な物質であることから、(国としても)早急に一律排水基準達成を業界に働きかける」、「たとえ自然由来であっても、高濃度のほう素、ふっ素含有水を大量に摂取した場合、健康に影響が出ることが知られており、過去に実際に健康被害があった事例が確認されている」といった国の考えが示されている。【環境省】
(注1)「ほう素とその化合物」については、1リットルあたり10ミリグラム以下、「ふっ素及びその化合物」については、1リットルあたり8ミリグラム以下、「アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物、硝酸化合物」については、1リットルあたり100ミリグラム以下という値が設定されている。