一般財団法人環境イノベーション情報機構
野生クマタカから、H5N1亜型の鳥インフルエンザウイルス検出
【自然環境 野生動植物】 【掲載日】2007.03.19 【情報源】環境省/2007.03.18 発表
熊本県相良村で衰弱死したクマタカ(メス成鳥)について、環境省が検査を進めた結果、このクマタカから、H5N1亜型(注1)の鳥インフルエンザウイルスが分離されたことが、平成19年3月18日にあきらかになった。このクマタカは、19年1月4日に衰弱した状態でみつかり、外傷がないにも関わらず、保護直後に衰弱死した。
環境省九州地方環境事務所は当初、鉛中毒の疑いがあるとして、猛禽類の鉛中毒調査を行っている同省釧路湿原野生生物保護センターに個体を送付し検査を進めたが、同保護センターで鉛中毒に関する検査と併せて、簡易キットによる鳥インフルエンザの病理検査を実施したところ、鉛中毒かどうかは不明だが、鳥インフルエンザウイルスは陽性であるとの結果が、19年2月10日までに得られた。
このため環境省は、鳥取大学農学部付属鳥由来人獣共通感染症疫学研究センターに改めてウイルスの型と毒性等を調べる検査を依頼。同研究センターから19年3月18日に、「H5N1亜型の鳥インフルエンザウイルスが分離された」という報告が寄せられたもの。
なお環境省はこの結果を受け、同研究センターに引き続き依頼し、ウイルスの毒性に関する病性鑑定、ウイルスの遺伝子分析による感染経路解明を進めるほか、このクマタカが発見された地域周辺でも、野鳥のウイルス保有状況調査を進める方針を固めた。
クマタカは、日本のレッドデータブックのカテゴリー「EN(絶滅危惧1B類)」に位置付けられているほか、「種の保存法」に基づく「国内希少野生動植物種」にも指定されている。【環境省】
(注1)鳥インフルエンザウイルスはたんぱく質の違いからA・B・C型の3つに分類され、A型ウイルスはさらにウイルスの表面に存在する突起上のH(赤血球凝集素)とN(ノイラミニダーゼ)に対する抗体の型で分類されている。HではH1〜15の15型、NではN1〜9の9型が知られている