一般財団法人環境イノベーション情報機構
13〜17年度のジュゴンと藻場の広域的調査の結果概要を公表 東海岸中部、西海岸北部の2海域で多くの食跡確認
【自然環境 野生動植物】 【掲載日】2006.12.27 【情報源】環境省/2006.12.26 発表
環境省は平成13年度から調査を開始した「ジュゴンと藻場の広域的調査」の17年度までの5年間分の結果概要をまとめ、18年12月26日に公表した。ジュゴンは、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物種の国際取引に関する条約)では、最も厳しく規制される付属書1リストに登録されている哺乳動物。とりわけ沖縄のジュゴンは、世界的な分布の北限と言われ、生息数も非常に限られていると推測されている。
「ジュゴンと藻場の広域的調査」は沖縄本島周辺海域に生息するジュゴンの保護策検討のための基礎資料として環境省が実施してきたもので、具体的には、(1)過去のジュゴンの分布域についての文献・聞き取り調査(13〜17年度)、(2)航空機によるジュゴンの分布や行動の目視調査(13〜17年度)、(3)海草藻場分布図の作成(13年度)、(4)潜水調査による藻場でのジュゴンの食跡調査(14〜16年度)、(5)多くの食跡が確認された藻場での食跡モニタリング調査(16〜17年度)、(6)死体等を解剖してのジュゴンの食性調査(13〜15年度)、(7)沖縄本島周辺と海外のジュゴンの遺伝的関係の調査(13〜15年度)−−といった内容が含まれている。
このうち(2)の結果では、沖縄本島周辺に生息するジュゴンが、主に東海岸中北部と西海岸北部を利用していること、(4)の結果でも、東海岸中部、西海岸北部の6海域で食跡が確認されたことが報告されている。6海域の中では特に屋我地島東側海域の藻場と名護市嘉陽地先の海草藻場で食跡が多く確認されたという。
また(5)の結果では、ジュゴンが海域や海草藻場を変えて食事をしている可能性が示唆され、(6)の結果では、ジュゴンが沖縄周辺の海草を偏りなく摂餌していること、(7)の結果では、沖縄の個体とフィリピン産の個体が近縁な祖先に由来することが示唆された。
なお環境省では、これまでの調査結果を踏まえて、18年度には16年度から実施している地元関係者との意見交換を継続する方針だ。【環境省】