一般財団法人環境イノベーション情報機構
福島第一4号機からのトリチウム放出 弁の開閉ミスが原因
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2006.09.19 【情報源】原子力安全・保安院/2006.09.15 発表
定格出力で運転中だった福島第一原発4号機(沸騰水型軽水炉、定格電気出力78万4,000キロワット)で、平成18年8月に総量約47ギガ(4.7×10の10乗)ベクレルのトリチウムが管理区域外の大気・周辺環境に放出されるトラブルが発生した件に関連して、東京電力(株)は18年9月15日付けで、このトラブルの原因と対策に関する報告書を原子力安全・保安院に提出した。このトリチウムの放出は、発電所の運転に必要な純水を補給する系統に、復水貯蔵タンクからトリチウムを含む水が流入したため、発生したもの。
今回提出された報告では、(1)7月28日に、復水補給水系統と純水系統の境界となる弁を閉める際に、本来閉じるべきA弁ではなく上流(純水)側の隣にあるB弁を閉め、しかもB弁もわずかに開いた状態だったままだったところに、(2)7月30日にA弁の下流(復水補給水)側の隣にある逆止弁にも微小な漏えいが発生。A・B弁、逆止弁を破って、復水補給水系統から純水系統へトリチウムを含む水の流入が始まり、(3)さらに7月31日に金属材除染作業のため、B弁を全開したことから、復水補給水系統から純水系統への流入量が増加し、トリチウムを含む水が系統全体に混入した−−と原因を推測している。
またこの原因を踏まえた対策としては、(一)復水補給水系統から純水系統への流入経路となった配管を分離し、逆止弁を撤去すること、(二)純水系統と復水補給水系統の境界になっている弁の操作について、マニュアルやチェックシートの記述を具体化すること、(三)今回のトラブルについて、関係者に対する事例検討会を開催し周知すること−−が示されている。
なお、報告を受けた保安院はこの原因と対策を妥当であると判断。これらの対策の実施状況を適宜確認していくとしている。【原子力安全・保安院】