一般財団法人環境イノベーション情報機構
冬の東京湾で貧酸素水塊発生を確認
【地球環境 海洋汚染】 【掲載日】2006.03.29 【情報源】国土交通省/2006.03.28 発表
これまで、内湾では夏にしか発生しないと考えられてきた貧酸素水塊(注1)が、東京湾では冬にも毎年発生していることが、海上保安庁海洋情報部と第三管区海上保安本部海洋情報部が行っている、東京湾海中の酸素濃度常時監視により平成18年3月28日までに判明した。この常時監視は、東京湾再生プロジェクト(注2)の一環として行われているもので、千葉港の西方約5キロメートルに位置する千葉灯標に水質の常時観測装置を設置し、15年5月から水中の溶存酸素濃度、水温、塩分、プランクトン量の指標となるクロロフィルa濃度の鉛直分布−−を自動観測している。
公表内容によると、冬の東京湾での貧酸素水塊発生は3年連続で観測されている。ただし、夏季の貧酸素水塊が10日から1か月程度継続するのに対し、冬季の貧酸素水塊の継続期間は2、3日程度で生物に対する影響は小さいと考えられるという。
なお海上保安庁は、東京湾再生プロジェクトが底層の溶存酸素濃度を「年間を通じて底生生物が生息できる限度に回復する」という目標を掲げていることを踏まえ、今後は夏季だけでなく、冬季の貧酸素水塊発生状況についても監視を強める方針。
(注1)生物に影響が及ぶほど酸素濃度の低い水塊。水産用水基準では1リットルあたり4.3ミリグラムを「底生生物の生息状況に変化を引き起こす臨界濃度」としている。
(注2)15年3月に策定された「東京湾再生のための行動計画」の目標を10年以内に達成するために、関係省庁と8都県市から構成される「東京湾再生推進会議」が実施している取組み。「陸域の負荷削減」、「海域の環境改善」、「東京湾のモニタリング」の3種の施策が分担、並行して進められている。【海上保安庁】