一般財団法人環境イノベーション情報機構
欧州委員会 ヒトの健康と環境を保護する大気浄化戦略を提案 「PM2.5」も規制対象に
【大気環境 大気汚染】 【掲載日】2005.10.13 【情報源】/2005.09.21 発表
欧州委員会は欧州全体の大気質を大幅に改善するため、野心的な戦略を発表した。「大気汚染に関するテーマ別戦略」は、2020年までに、大気汚染に関連する疾病による早期死者数を、2000年レベルから40%削減することを目指す。また、大気汚染物質によって被害を受ける、森林、その他生態系地域を実質的に削減することも目的とされる。
同戦略は、粒子状物質、アンモニア、NOx、SO2、揮発性有機物質(VOCs)及び地上レベルオゾンを対象としているが、中でも、ヒトの健康に大きな危険をもたらすものとして、粒子状物質(特に微粒子)及び地上レベルオゾンについて、特別な注意が払われている。この戦略に基づいて、欧州委員会は、人間の肺の深部に達する微粒子、いわゆる「PM2.5」の規制を始めるよう提案している。PM2.5に関しては、初めて、平均濃度の削減を加盟国に求めるほか、最も汚染がひどい地域では上限値を設ける。
また、欧州委員会は、大気質関係の規制を合理化するため、現行の大気質枠組み指令、その下位指令及び決定を、新たな「環境大気質指令」に一本化するよう提案している。加えて、加盟国は、より柔軟な措置をとることができるようになる。加盟国が法令の実施のため、あらゆる合理的な措置をとったにもかかわらず、特定の場所で大気質基準を遵守できない場合には、より厳格なクライテリア及び遵守のための計画の実施を条件として遵守期限の延長を申し出ることができるようになる。
欧州委員会は、同戦略に適合するよう、国別排出上限指令(2001/81/EC)の上限値の改定を提案する予定であり、自動車排ガスに関する新たな「ユーロ5」規制の導入、エネルギー・運輸・農業部門での取り組みなども検討している。【欧州委員会環境総局】