一般財団法人環境イノベーション情報機構
浜岡2号機耐震計算に関する告発情報1件の調査結果公開
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2005.09.28 【情報源】原子力安全・保安院/2005.09.28 発表
原子力安全・保安院内に設置された「原子力施設安全情報申告調査委員会」は平成17年9月28日付けで、原子力施設に関する告発情報1件に対する調査結果を公表した。「原子力施設安全情報申告調査委員会」は関係者の内部告発がきっかけとなり、原子力発電所の自主点検記録についての一連の不正が発覚したことを受け設置された組織。外部専門家により構成され、保安院に寄せられた個々の告発情報の対応方針を決める権限を持つとともに、この方針に基づいて原子力安全・保安院の担当官が行った調査内容が適切であるかチェックを行うことになっている。
今回公表された告発情報は17年8月23日から9月28日までの間に裏付け調査が完了したもの。
告発は17年4月15日に電話で情報提供されたもので、浜岡原発2号機の設計に従事した昭和44年から47年7月当時、耐震計算で地震に耐えられないという結果が出たため、(1)岩盤強度を再測定し強かったことにする、(2)核燃料固有振動数を実績値でなくゼネラル・エレクトリック社の推奨値とする、(3)建屋の建築材料粘性を大きく取る、などごまかしの計算をしたというもの。告発者は「耐震計算は水平方向の揺れに対するもののみなので、上下方向と水平方向に同時に大きな振動があった場合、燃料集合体が下部格子板から離れて、制御棒の挿入通路をふさぎ、制御棒の挿入が不可能になる危険性がある」と指摘した。
この告発に基づく「原子力施設安全情報申告調査委員会」の調査結果としては、(1)浜岡2号機の炉内構造物の耐震計算には、地盤に関してバネ定数と減衰率を利用して計算を行っており、地盤強度は使われていない、(2)浜岡2号機の燃料集合体の固有周期は、2号機と類似した原子炉の固有周期とほぼ同じで変わった点は見られない、(3)建屋材料の減衰率についても、他の原子炉の耐震計算と同じ数値が採用され
ている−−との内容が報告された。また、浜岡1,2号機では耐震指針が求める水準の鉛直震度が考慮されており、「耐震計算は水平の揺れに対してのみ行っている」という事実もなかったとされた。【原子力安全・保安院】