一般財団法人環境イノベーション情報機構
被害救済新法提出へ 政府が「アスベスト問題への当面の対応」を改訂
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2005.08.29 【情報源】首相官邸/2005.08.26 発表
平成17年8月26日に第2回「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」が開催された。この会合では、政府が過去に行ったアスベスト対策についての検証を行うとともに、17年7月29日に開催した第1回会合でまとめた「アスベスト問題への当面の対応」を改訂した。
このうち政府の過去の対策の検証結果は、「旧労働省と旧環境庁は国際労働機関(ILO)と世界保健機関(WHO)がアスベストの発がん性を指摘した1972年には、アスベストの危険性を認識していた」と報告。しかし当時は、(1)予測された危険性に科学的確実性がなくても、予防対策を行う必要があるという考えが薄かった上に、(2)旧環境庁が所管する環境対策の範囲を、汚染物質の工場外排出防止のみに限定するという認識が強く、総合的な視点でのアスベスト対策の展開が遅れたと指摘。さらに(3)政府全体としても旧労働省や旧環境庁が実施していた調査・研究の成果を十分に共有していなかったと分析した。検証結果については今後も引き続き精査が続けられる予定。
一方「アスベスト問題への当面の対応」については、「被害の拡大防止」、「国民の不安への対応」、「過去の被害に対する対応」、「政府の過去の対応の検証」、「アスベストのリスクに関する実態把握の強化」−−の5分野の取組みのうち、「過去の被害に対する対応」策の中で、労災補償を受けずに死亡した労働者、家族、周辺住民の被害救済のために、新法を次期通常国会に提出するとの方針を新たに盛り込んだ。【首相官邸】