一般財団法人環境イノベーション情報機構
UNEP イラクの環境に関する調査結果を公表
【環境一般 環境アセスメント】 【掲載日】2003.05.02 【情報源】国連/2003.04.24 発表
UNEPは4月24日、イラクの環境状況に関する報告書「イラクの環境に関するデスクスタディ(The UNEP Desk Study on Environment in Iraq)」を公表した。この報告書は、イラクの直面する主要な環境問題に関する初期的なアセスメントで、緊急援助及び長期的な復興に向けた対策を勧告するものである。報告書では、早急に優先して取り組むべき事項として、水供給・衛生システムの再構築、汚染のおそれの高いホットスポットの浄化、廃棄物処分場の浄化などが挙げられている。また、劣化ウラン弾が使用された地域の科学的調査も、優先事項とされている。
さらに、報告書は、紛争後の再建計画に環境保護を組み込んでいくこと、環境問題に取り組むために基礎となる知識の集積、長期的な環境管理を行うための組織や能力の構築なども求めている。長期的な課題としては、有害廃棄物対策、水資源管理、生態系の復元(特にメソポタミア湿地)が挙げられている。
報告書は、過去20年にわたる数々の紛争やフセイン体制下での環境管理、制裁の経済影響などが、イラクの環境に重大な影響を及ぼしてきたとする。イラクの人々にとって、主な脅威は、環境インフラへの物理的な被害が積み重なってきたことである。紛争による破壊に加え、投資不足や不十分な管理も原因とされている。
なお、今回の報告書については、スイス政府が資金提供を行っている。
【UNEP】