一般財団法人環境イノベーション情報機構
欧州環境庁、2019年にEU排出量取引制度下の排出量は大幅に減少と発表
【地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2021.01.12 【情報源】EU/2020.12.14 発表
欧州環境庁(EEA)は、「EU排出量取引制度(EU ETS)下の排出量の動向と予測2020年版」を発表した。これによると、2019年の固定設備からの排出量は前年比で9.1%減少した。ここ10年は微増の2年を除き漸減傾向にある中で、減少幅は最大となった。要因は、発電用燃料の石炭から天然ガス、再生可能エネルギーへの転換にある。再生可能エネルギーの供給増に加え、炭素価格の上昇が転換を促進した。一方で、フライト増により航空からの排出は1%増加した。2019年の排出枠取引量は前年比で36%減少したが、炭素価格の上昇によりオークション収入総額は4億4700万ユーロ増加した。取引量の減少は、EUを離脱したイギリス分の除外と2019年から始動した市場安定化リザーブ(MSR)による需給調整効果による。EU加盟各国の現行政策を前提とした2030年までの自国の排出量予測は、原子力発電の段階的廃止に伴う代替エネルギーの利用可能性の評価等により、増加と減少が相半ばする。なお、EU ETS下の排出は、EUの総排出量の40%を占める。【欧州環境庁】