一般財団法人環境イノベーション情報機構
国連環境計画、人と環境を守る水管理法を求める報告書を発表
【水・土壌環境 その他(水・土壌環境)】 【掲載日】2010.09.17 【情報源】国連/2010.09.07 発表
国連環境計画(UNEP)は、世界の水危機を回避するために、環境に配慮した法令の整備を求める報告書「水管理法における環境配慮の強化(Greening Water Law)」を発表した。報告書によると、人口の急増で飲用、衛生、食料生産及び経済開発のための水需要が増大している一方、動植物や生態系も生存のために水を欠くことはできず、淡水の枯渇や汚染も広がるなか、人間と生態系の間で、水をめぐり競合する事態が増えているという。湿地が水の浄化や有害物質の除去などの生態系サービスを提供するなど、淡水資源の保護には経済的利点も大きく、各国政府は、持続可能な淡水生態系とその周辺環境を維持しながら人間社会の水需要の増大に対応する方法を探っている。報告書は、人と環境の双方が直面する水危機に対処するためには、環境に配慮した新しい法制度が必要だとし、一例として、水生生態系等の環境の水需要を人間の基礎需要に次ぐ第2位に位置づけ、その他のすべての用途より優先させる、オーストラリアやパラグアイの水管理法を紹介している。UNEPでは、環境に配慮した経済を目指す各国政府を支援する「グリーン経済イニシアチブ」や、政策担当者のための指針作成を目的とする「生態系と生物多様性に関する経済学」プロジェクトでも淡水資源を扱っており、環境と人間の双方のニーズに配慮したバランスの取れた水利用を推進するよう、各国・各地域の政府に呼び掛けている。【UNEP】