一般財団法人環境イノベーション情報機構
中国企業環境監督員制度を全面実施へ模索中
【環境行政 行政資料】 【掲載日】2007.05.29 【情報源】中国/2006.12.20 発表
国務院が通達『科学的発展観の実施による環境保護の強化に関する決定』の中で、「企業環境監督員制度を設立し、職業資格管理を実行する」と明確に示した。この制度をいかに実施するかについて、国家環境保護総局は5都市でモデル事業を実施した。モデル事業の中で、この制度の効果的な面が明らかになると同時に一部の問題も浮き彫りになった。一、企業環境監督員制度の意義
企業環境監督員制度は日本の「公害防止管理員制度」の経験を参考にして実施した。
国の関連文書の精神と関連実証事業機関の経験に基づき、中国の企業環境監督員制度はこのように説明できる。企業環境管理担当は環境専門知識の研修と審査の後、職業資格を持ち、本人が申請し環境行政主管部門と所属企業に採用されることで、同企業内で一部の環境監督管理権を行使する環境管理制度である。
二、企業環境監督員制度実施の重要意義
この制度を普及する重要な意義は以下の通りである。
1.企業の汚染対策強化の自覚を促進する。
2.迅速で正確に環境リスクに対応できる。
3.企業従業員の環境保護への参加を促進する。
4.環境法律執行を強化。
三、企業環境監督員の職責
『実証事業通達』の中で、企業監督員の職責を明確にしている。
・企業の環境保護事業計画・規則制度の制定を担当する。
・企業が汚染を出す生産施設、汚染対策施設の運転状況、汚染物の排出状況を検査する権限を持つ。
・モニタリングデータの確認、汚染事故緊急対策の制定と予行演習を担当する。
・汚染事故発生時に、しかるべき緊急措置をとる。
・定期的に環境部門に状況報告をし、環境部門との連絡を強化する。
実証事業の推進に伴い、上記の職責を絶えず調整する。例として、
・企業の新設、改造、拡張工事の環境設計案と竣工検収に参加、審査する。
・事業の需要に基づき、各級環境部門の研修、法執行検査に参加する。
・現場検査で、今後環境に影響を与えうる問題を発見した場合、企業にしかるべき措置をとらせ、期限内に改善させる権限を持つ。
・企業主管部門と企業が環境保護を軽視する、指導力不足、管理の怠慢などの問題に対し、意見と提言を示す権利を持つ。
四、企業環境監督員制度の実施に関する若干の意見
(一)早期に『企業環境監督員管理弁法』を公布する。現在、各地で同制度の実施に対する期待が高まり、国は企業の企業環境監督員の選任条件、手続き、職責と権限、管理、賞罰に対し全面的に規範化することが急務である。
(二)企業環境監督員に報酬の支払いを実行する。企業環境監督員は法律で賦与された権利を行使でき、同時に一定の責任を負わなければならない。企業環境監督員に適切な補助を与えることが必要であり、市場経済の要求にも一致する。この補助は各地の財政状況と生活水準に基づいて決定し、財政予算に組み込み、特別支出金としてこの項目にのみ使用する。
(三)厳格な企業環境監督員審査メカニズムを構築する。各企業の汚染物生産排出状況は異なり環境管理水準も違う。このため企業環境監督員各人の目標審査も違う。現地の環境部門は企業環境監督員が所属する企業と共に、審査指標を合理的に定め、厳格に審査し賞罰を与える。
(四)企業環境監督員の研修、試験を統一する。この制度を試行するとき、必ず統一的に研修、審査、証明書発行を行う。ただし全面実施のときには、同事業は地・市級環保部門によってなされるべきである。その理由として、第一に企業環境監督員の行使できる権限は小さく、その役割も限定的であり、厳し過ぎる、敷居が高過ぎれば、合格人数が少なくなるからである。第二に、地・市級環保部門は環境管理の第一線であり、各企業の汚染物排出の現状と環境管理担当を熟知しており、企業環境監督員を選任するのに有利だからである。【中国環境報】