一般財団法人環境イノベーション情報機構
美浜3号機2次系配管破損事故で保安院が最終報告書作成
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2005.04.01 【情報源】原子力安全・保安院/2005.03.30 発表
原子力安全・保安院は関西電力(株)平成17年3月25日が提出した美浜発電所3号機2次系配管破損事故の再発防止行動計画を踏まえて、17年3月30日までに事故の最終報告書を作成し、公表した。美浜3号機では、16年8月9日に発生した放射性物質が含まれていない加圧水型軽水炉2次系配管の破損事故で、事故直後の原子炉データに大きな問題が認められなかったにもかかわらず、死者5名、負傷者6名を出す大惨事となった。
16年9月公表の中間報告では、配管の破損原因はエロージョン/コロージョン(配管に触れる流体などが原因となった物理的損傷と化学的腐食の相互作用によって起きる減肉現象)と推定したほか、破損を引き起こした直接要因を、点検を実施していた三菱重工(株)と(株)日本アームが破損箇所を点検リストに記載漏れし続けた上に、委託元の関電による点検リスト管理がずさんだったためと指摘。
今回の最終報告は、電気事業法施行規則改正で定期事業者検査の対象に蒸気タービン系配管を追加するなど、中間報告後に保安院がとってきた対策を紹介するとともに、関電、三菱重工、日本アームによる再発防止策を報告・評価。
特に関電については、17年3月1日にいったん提出されていた再発防止策に、再発防止を確実にする保守管理の仕組みが具体的に示されていなかったことから、保安院が関電側に、品質保証(注1)体制強化に向けた経営層による決意表明を軸とした再発防止策を再提出するよう要請し、25日の再発防止行動計画提出に至った経緯が説明され、「計画」の内容に一定の評価を示しつつも、「この報告をもって、これまでの管理のずさんさが解決されたと判断するのは時期尚早で、今後計画内容の実施状況を定期的に評価・公表していく中で信頼を回復すべき」との指摘が示された。
さらに今回の事故の教訓として、(1)保守管理・品質保証体制強化に向けた経営層の意識改革と改善努力、(2)原子炉設置者が原子力施設の保全業務一切の責任を全うするための外注管理の改善−−が必要だと指摘している。
(注1)体系的に整備された組織・文書に基づき、計画的に事業の運営・管理を行い、安定的に高い品質の製品・サービスを提供しようとする取組み。【原子力安全・保安院】