一般財団法人環境イノベーション情報機構
PRTR法 15年度届出外排出量推計方針案への意見募集結果公表
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2005.01.07 【情報源】環境省/2005.01.07 発表
経済産業省と環境省は、平成16年11月12日から12月10日まで実施していた「化学物質排出把握管理促進(PRTR)法」届出外排出量の15年度分推計方針案への意見募集結果を17年1月7日に公表した。「化学物質排出把握管理促進法」に基づくPRTR制度では、対象の354種の化学物質について、事業所から環境中に排出された量や廃棄物に含まれ事業所外へ移動した量を、事業者が自らが把握し毎年国に届け出ることを義務づけているが、国はこれらの届出データの集計とあわせ、(1)届け出事業所の要件に満たない零細事業者からの排出量、(2)対象業種以外の排出量、(3)家庭からの排出量、(4)自動車などの移動体からの排出量−−など届出対象外の排出量の推計を行い、これらを総合した対象物質総排出量・移動量を算定・公表することになっている。
今回まとめられた推計方針案は、14年度データと比べ、(一)殺虫剤の推計対象として従来の3分野にシロアリ防除剤を加える、(二)界面活性剤の推計対象として従来の4分野に肥料を加える、(三)自動車排出源の範囲として従来の3種(ホットスタート、コールドスタート時の増分、サブエンジン式機器)に燃料蒸発ガスを加えるとともに、ホットスタートとコールドスタート時の増分の化学物質別排出係数をより詳細化する、(四)二輪車の排出源の範囲として従来の2種(ホットスタート、コールドスタート時の増分)に燃料蒸発ガスを加える、(五)推計対象とする船舶種類に従来の2種(貨物船・旅客船、漁船)のほかにプレジャーボートを追加する−−いった見直しがされている。
公表内容によると、期間中2団体、5名から26件の意見が寄せられた。
意見には例えば、「農薬排出量の都道府県別・適用対象別需要割合の推計は、産業連関表の生産者価格によるのではなく、年間散布回数、1回あたり散布量など農薬使用量に直接関係ある情報を使って行うべき」、「農薬排出量推計は出荷量を排出量とみなし、さらに排出先をすべて土壌とみなしているが、実態に則して推計を詳細化すべき」、「洗浄剤のエチレンジアミン四酢酸を追加推計すべき」などの内容があった。
これらの意見に対しては、「産業連関表は最も重要な国内統計データの1つで、生産者価格は分野ごとの需要の大きさを生産段階での価格ベースで表したもの。整備が不十分な年間散布回数などのデータより信頼できる」、「現時点では、大気、水、土壌といった農薬排出先媒体を区別した一般的データが得られていないため、当面は現在の推計方法を変更しない。ただし充分なデータが得られた場合には見直しを検討する」、「エチレンジアミン四酢酸は酸素系漂白剤の金属封鎖剤として使用されている可能性がある。基礎データがないため15年度は推計しないが、16年度排出量推計時に調査対象に加えることを検討する」などの考えが示されている。【環境省】